アリー スター誕生/原題 A STAR IS BORN

〓DATE

2018.12.23(日)Screen9

〓FILMMAKERS

監督 ブラッドリー・クーパー、脚本 エリック・ロス、ウィル・フェッターズ、2018年アメリカ映画、配給 ワーナー・ブラザース映画

〓CAST

ブラッドリー・クーパージャック)、レディー・ガガアリー)、アンドリュー・ダイス・クレイ(アリー 父、ロレンツォ)、サム・エリオット(ジャック兄、ボビー)、ラフィ・ガヴロン(マネージャー、レズ・ガヴロン)、ルーカス・ネルソン(ギタリスト、ルーカスはウィリー・ネルソンの息子)

 〓ご注意

以下の内容にはネタバレを含みますのでご注意ください。

〓観覧年齢制限

PG12 

〓概要

 アリーは歌が上手く、作詞作曲もできプロの歌手を目指しているが、道が開けず、しがないウェイトレスとライブハウスで歌う日々を過ごしていた。

 ある日、売れっ子ミュージシャンのジャックは大きなコンサートの後、アルコールを求めて小さなライヴのあるバーに立ち寄り、そこで歌っていたアリーの才能を見抜く。

 ジャックは自分の大規模ライヴにアリーを招き、大観衆の前で歌わせる。アリーの圧倒的歌唱力は観客を魅了し、それからのジャックのステージではアリーとのコンビで演奏公演をこなすようになっていく。

 そんなある日、マネージャー業のレズ・カヴロンがアリーのマネージャーを申し出る。それからアリーは一挙にスターの道を駆け上っていく。

 一方でジャックは聴力が失われつつあることや、自らが見出したアリーがスターになっていくことへの嫉妬で、さらにアルコールとドラックに漬かるようになっていく。

 ある日、ジャックはレズから衝撃的な一言を告げられる、ジャックの失態を周りのみんなで収拾を図ってきたこと、ジャックの存在がアリーにはとても重荷になっていること、でもアリーはジャックを愛する気持ちからそれを不満として漏らさないこと、そんな事実を知ったジャックがとった選択とは・・

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〓cinemaeyes

 『スター誕生(A Star Is Born)』はアメリカの伝統的な作品だ。1937年作、1954年作、1976年作、そして、2018年の本作が3度目のリメイク版で4度目の映画化となった。ストーリー展開は全作ともスターが誕生するまでの栄光と葛藤を描く、先の2作はムービースターの、後の2作は音楽アーティストの設定だ。前作の『スター誕生(1976)』ではバーブラ・ストライサンドの歌う スター誕生の愛のテーマ「Evergreen」が世界的な大ヒットとなりアカデミー賞歌曲賞、グラミー賞最優秀楽曲賞などを受賞、今ではすっかり世界のスタンダードナンバーとなっている。さて、本作は既にアカデミー賞の呼び声高い、楽曲ではサウンドトラックが既に全米・全英・iTunesのアルバムチャート1位を獲得している、この後の発表がとても楽しみだ。

 本作での注目の一つはブラッドリー・クーパーのエレキテクニックとプロ同等の歌唱力だ。冒頭のライヴ、間近の歓声の物凄い強さの「音圧」がスクリーンから観るものに伝わってくる中、ブラッドリーの歌声が響き渡る。この作品のメインテーマとなるサウンドトラック12曲目の「シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」でも出だしはブラッドリーからだ。さらに極めつけはラストトラックの「アイル・ネヴァー・ラヴ・アゲイン」でのガガとのピアノの弾き語りだ、初監督作品でありながらもミュージシャンとしての可能性をも伺わせる作品となった。

 アカデミー賞主演男優賞を受賞した『アメリカン・スナイパー(2014)』の強烈な印象からはかなり体重を落とし本作に臨んだことが伺える、伝説のスナイパー クリス・カイル の時はふっくら大柄のアメリカ人だったが、本作では頬が見事にこけ堕ち神経質そうな人柄を十分に表現することができた。ハリウッドの中ではミュージシャンがらみで最も役柄ギャップが大きいツートップの一人に躍り出たといえよう(ツートップのもう一人はもちろん ライアン・ゴズリング だ)。

 ストーリー展開からして、これだけ人気あるミュージシャンのジャックとアリーならば、たくさんのマスコミやファンに取り囲まれるはずだが、その様なシーンは一切ない、全く皆無だ。全編が二人の愛の行方と音楽活動に費やされている。これくらい潔いと、スクリーンを観る者は集中して二人の行方と同化、没入していくことができるのだ。

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 そして、レディ・ガガ(本名はステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ)、その名はフレディ・マーキュリーの声のスタイルと似ているとしてロジャー・テイラー作詞・作曲の「Radio Ga Ga」から付けられた芸名だ。多くの女性シンガーが甲高い歌声でシャウトしながら歌うのに対し、レディ・ガガの歌声は比較的太く低めだから聞いていて疲れない歌声だ。類に出すのはおかしいのだが日本の歌手では宇多田ヒカルが似た歌声を持つ。本作ではジャックに対し最初から最後まで純粋に愛情を貫き通す演技が深い余韻を残す。

 「アリー/スター誕生 サウンドトラック」から選ぶベスト2は次の2曲、①17曲目 オールウェイズ・リメンバー・アス・ディス・ウェイ~2人を忘れない、②12曲目 シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」 

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