シェイプ・オブ・ウォーター/原題 THE SHAPE OF WATER

FILMMAKERS

監督・原案 GUILLERMO DEL TORO(『パシフィック・リム』など)、脚本 GUILLERMO DEL TORO VANESSA TAYLOR、音楽 ALEXANDRE DESPLAT、美術 PAUL AUSTERBERRY、配給 Fox Searchlight PicturesOX SEARCH公開 🇯🇵2018.3.1 🇺🇸2017.12.8、上映時間 123分、製作国 🇺🇸アメリカ合衆国、第90アカデミー賞 作品賞受賞、監督賞受賞、作曲賞受賞、美術賞受賞、第75ゴールデングローブ賞 監督賞受賞、作曲賞受賞 、R15

CAST

SALLY HAWKINS(イライザ)、MICHAEL SHANNON(軍人ストリックランド、『ホース・ソルジャー』など)、RICHARD JENKINS(売れない画家ジャイルズ)、DOUG JONES(´彼´)、MICHAEL STUHLBARG(研究員ホフステトラー博士)、OCTAVIA SPENCER(掃除係の同僚ゼルダ

〓概観

 THE SHAPE OF WATER を訳せば「水のかたち」、映画のチラシには「それは目に見えない形」とも書かれている。自然と惹かれていき、やがて激しい愛、強い愛の「形」に変貌して行く様子をそう表現したのだろうか?

命を繋ぐ水がスクリーンを占有する割合が物語が進むにつれて増えていく。目には見えないけれど、でもしっかりと確かにある愛情も水の量と比例して次第に増していくのだ。

f:id:cinemaeye:20180415201430j:image  f:id:cinemaeye:20180415201447j:image

CINEMAEYES

 ・時代背景(1962年アメリカ)

 米ソの冷戦時代だ。本作は米ソ冷戦下の対立が背景となって物語が進んで行く。朝鮮戦争から12年経ても続く上官と部下の関係は、軍人故にその階級差は絶対的だ。

 広告業界は絵広告から写真広告へと時代の変わり目を迎えている。広告画家にとっては厳しい時代になっていたようだ。そういえば映画看板だって割と最近まで(?)は絵によって描かれていたものだ。

 黒人差別は未だに激しい。舞台はアメリカ南部だろうか?パイの店に入ってきた黒人の男女のカップルを店内はガラガラなのに追い出してしまう。当時はまだ全米で公民権運動が盛んな時代、この物語の2年後の1964年には「公民権法」制定やキング牧師ノーベル賞受賞など、法上の人種差別撤廃の年を迎える。

・ヒロインイライザの生い立ち

 彼女は「川に捨てられていた」とゼルダがイライザに代わり説明するシーンがある、その後、養護施設で育ったのだという。ラストを見ればこれが深い意味を持つことがわかる。何ということか、イライザの首の傷が動き出すのだから。また、そもそも「なぜ、この´彼´にこれほどまでに心を奪われて行くのか?」「なぜ、話すことができないのか?」の本当の理由も分かるような気がするのだ。

・手話

 イライザは声を出せないが耳は聞こえる。手話を通じて自らの意思を伝えるのみだ。手話を勉強している人や理解できる人はこの作品をより深く楽しめそうだ。イライザと´彼´の間に言葉は要らない、食べ物、音楽、そして手話があれば十分だ。言葉は時に思わぬ解釈をされ、想定外の誤解を招くことがある、でもこの二人には決してそのようなことは起こらないのだ。

・アパート

 イライザとジャイルズの住まいは、何と映画館の真上だ。現在の日本なら、TOHOやユナイテッド・シネマの上に部屋があるようなものだ。何という夢の世界だろうか! 

〓関連作品

美女と野獣

〓リンク