ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男/原題 DARKEST HOUR

伝説のリーダー、真実の物語

1940年、第二次世界大戦下のイギリス。絶体絶命の危機で首相に就いたのは、政界一の嫌われ者だった。(チラシより)

〓FILMMAKERS

監督 Joe Wright 、脚本・製作 Anthony McCarten、特殊メイク、ヘア&メイクデザイン Kazuhiro Tsuji、配給 🇯🇵ビターズ・エンド/パルコ 🇺🇸 Focus Features、公開 🇺🇸2017.11.22 🇬🇧2018.1.12 🇯🇵2018.3.30、上映時間125分、製作国 イギリス

〓CAST

Gary Oldman(首相:ウィンストン・チャーチル、『ダークナイトジム・ゴードン刑事、など)、Kristin Scott Thomas(妻:クレメンティーン・チャーチル)、Lily James(個人秘書:エリザベス・レイトン)、Stephen Dillane(外務大臣:ハリファックス伯爵)、Ronald Pickup(前首相:ネヴィル・チェンバレン)、Ben Mendelsohn(国王:ジョージ6世

〓AWARD

アカデミー賞(受賞2部門、ノミネート4部門)

🥇主演男優賞受賞 Gary Oldman、🥇メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞 Kazuhiro Tsuji、ノミネート:作品賞・美術賞・撮影賞・衣装デザイン賞

〓概要

 チャーチル首相の誕生からナチス・ドイツとの徹底抗戦を決めるまでの苦悩と葛藤を描く。ヨーロッパがヒトラーに蹂躙されつつある最中、首相就任からダンケルクまで刻一刻と事態が悪化していく27日間の実話だ。

 すごい迫力の作品だ。スクリーンの中のチャーチルの迫力、生き様が観ている観客にこれでもかとぐいぐい伝わってくる。戦局は日々悪化、政界内にこれといった味方はおらず、保守党の支援を得るために意図的に残した政敵は今なおナチス・ドイツとの宥和政策を唱え、個人秘書やイギリス国王でさえチャーチルを怖いと言う始末、まるで四面楚歌だ。これぐらいの強い心と信念、そして迫力を兼ね備えたリーダーでなければ時の首相は務まらなかったのだ。

 ジョージ6世チャーチルの背中を押す、チャーチルは市井の人々の声を聞きに街中に飛び出し自らの考え(徹底抗戦)と相違ないことを確信する、市井の声を閣外大臣たちや議会に届け「We shall never surrender」の演説でイギリスは徹底抗戦を宣言する。

 実に人間臭い物語だ、当時、貴族政治さながらだとチェンバレンやハリファックス伯爵が押すナチス・ドイツと戦わずしての講和を模索することになっていたというのだ。しかし、イギリスは議会政治の国だ、国民の声が国を、そしてチャーチルを動かしたのだ。

 ラストの有名な下院議会での演説は迫力もの。言葉の魔術師が、国民の声を代弁し、イギリス国王の信任も得て演説するのだから、人々の心を鷲掴みにして、国を一つにまとめていく。こんな政治家は二度と現れないのかもしれない。

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〓CINEMAEYES

・時代背景

 1940年5月。🇵🇱ポーランド、🇳🇱オランダ、🇧🇪ベルギーが占領され、🇫🇷フランスは降伏寸前。カレー守備隊を救えず、ダンケルクの30万人を救出するためのダイナモ作戦を発動した頃だ。

 地下にある戦時作戦室ではナチス・ドイツによるイギリス攻略戦の分析をしている。チャーチルフランクリン・ルーズベルトに支援を求めるが、🇺🇸アメリカには1935年に成立させた「中立法」があり、🇬🇧イギリスには武器の供給ができないでいる。

 この以前、ネヴィル・チェンバレン首相は対ドイツ宥和政策を続けており、1938年のミュンヘン会談(英仏独伊)ではチェコスロヴァキアズデーテン地方のドイツ併合を認めている。チェコを犠牲にしていながらも戦争を回避したことで国民の支持を得たが、この宥和政策がナチス・ドイツの怒涛の台頭を許したことにイギリス国民は後になって気が付く。

ウィンストン・チャーチル

 王立陸軍士官学校卒、たくさんの戦歴を持つ他、政治家歴も相当長く大臣職をいくつも歴任している。言葉の魔術師、酒好き、葉巻好き、1953年ノーベル文学賞受賞。6人の子供に恵まれたこともあるせいか、作品の中では小さな女の子に優しく話しかけている。

・特殊メイク

 あの『ダークナイト』のゴードン刑事は何処にもいない、顔が違うだけではなく、声も違うのだ。顔が何度もクローズアップされる、シミ、毛穴、ひげ、は本物にしか見えないし、目の周りや首までメイクアップと自身の肌との切れ目が見つからない。口を動かす時も頰の動きは自然なのだ。

ダンケルク

 チャーチル発案の民間船徴用による救出作戦には多数の船の提供を受け、多くの兵士の救出に成功する。イギリス国民はチャーチルをリーダーとして徹底抗戦の意思を固めていく機会となった。

〓リンク

wwws.warnerbros.co.jp