スリー・ビルボード/原題 THREE BILLBOARDS OUTSIDE Ebbing,MISSOURI

監督・脚本・製作 MARTIN McDONAGH、配給 Fox Searchlight Pictures and Film 4、公開 🇯🇵2018.2.1 🇺🇸2017.11.10、75'thゴールデングローブ賞 6部門ノミネート、

【概観】

重いテーマの作品だ。性犯罪、人種差別、警察官による暴力、家庭内暴力(DV)、移民、いじめ、貧困、銃規制、退役軍人の社会復帰、終末医療・・・、現代アメリカのすべての社会問題がミズーリ州の田舎町を舞台に縮図のようにして描かれていく。

主人公ミルドレット(フランシス・マクドーマンド)は、郊外の大きな3枚の看板に赤地に黒文字の意見広告を出したことで波紋が次第に広がっていく。その波紋は人の命にまで影響を及ぼすなど、多くの人々の人生に影響を与えていく。

【視点】

スカッと解決するに至る作風とは異なるが、多くの市民にはまだまだ善意が残っていることを示す描き方は、緊張感漂うこの作品の中で唯一ホッとさせられるところだ。そんなシーンがポツリポツリとちりばめられている。

市民それぞれが自分の仕事に誇りを持っている、それは警官でも、移民でも同じだ。

【他作品との相関】

「酒場や刑務所の中で、昔犯した犯罪を自慢したことで犯人が捕まる場合がある」、ディクソン元巡査(サム・ロックウェル)はミルドレットにこう言って励ます。これは『ショーシャンクの空に』で主人公が刑務所の中で過ごすうち、そこで犯罪を自慢気に話す真犯人を見つけたシーンと同じだ。