イコライザー2/原題 THE EQUALIZER 2

《イー》

〓DATE

2018.10.6 土曜日 Screen6

〓FILMMAKERS

監督 アントワーン・フークア(『マグニフィセント・セブン(2016)』)、脚本 リチャード・ウェンク(『マグニフィセント・セブン(2016)』) マイケル・スローンとリチャード・リンハイムによるTVシリーズに基づく 撮影 オリバー・ウッド 製作会社 コロムビア映画 エスケイプ・アーティスツ 配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント 公開 🇺🇸2018.7.20 🇯🇵2018.10.5

〓CAST

デンゼル・ワシントン(ロバート・マッコール)、デイブ・ヨーク(ペドロ・パスカル:CIA元同僚、『キングスマン:ゴールデン・サークル(2017)』)、アシュトン・サンダース(マイルズ・ウィタカー:黒人青年、『ムーンライト(2016)』)、ビル・プルマン(ブライアン・プラマー、『インディペンデンス・デイ(1996,2016)』、メリッサ・レオ(スーザン・プラマー)

〓ご注意

以下の文章にはネタバレを含みますのでご注意ください。

〓概要

 『イコライザー(2014)』の続編、普段、マッコールはその経歴を生かして地域の不正を正しながら生きている、前作ではロシア系の歌手を目指す女の子を救う課程でロシア系マフィア組織を抹消した。今作ではアパートに住む十代の黒人の若者(マイルズ)を悪への道から救う課程の中で、この若者もイコライザー同士の戦いの中に巻き込まれていく。

 CIA時代の今も良き理解者である元上司スーザンが殺される。つい数日前にマッコールはスーザンより「家に戻るべき」との助言を受けていたばかり、前作ではロシア系マフィア組織を抹消することの許可を暗に得ていた信頼おけるスーザンであった。

 スーザンの死因調査を進める中で、CIAの元同僚達の関与が発覚する、彼らもまたイコライザーとしての道を歩んでいた。

 スーザンの復讐というメインのストーリー展開のサテライトとして、誘拐された女の子の救出(キャリアウーマンの娘、本屋の娘)、マイルズのストリートギャングたちからの救出、暴行を働いたエリートビジネスマン風の若者グループの成敗、戦争で引き裂かれた老紳士とその姉との再会、など地域の市井の人々の手助けも描かれる。

〓cinemaeyes

 イコライザーの意は、均一化するもの、平行装置、同点弾、同点シュート。この映画では’世の不正を完全抹消する[仕事]請負人’を意味するようだ。

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 「お前は一体何者だ?」「あんたは一体何者なんだ?」、マッコールは普段の仕事は運転手、前作ではホームセンターの店員なのに、不正を正す時は凄腕だから、抹消される犯罪者や救出される人々は皆、驚きのこの声をあげる。この言葉は前作から共通だ。

 近接格闘戦が描かれる作品では主人公の鍛え抜かれた肉体が映し出されることが多い。しかし、本シリーズではマッコールの肉体がアップになることはない、ガッチリした身体であることはシルエットから分かるのだが、果たしてデンゼル・ワシントンの肉体も鍛え抜かれているのか?その正体は不明だ。

 「2kgだ」、マッコールがマイルズに引き金を引く力は2kgだと言う、たった2kgの力だけで命を奪うことができる、でもその瞬間の重みを知れとしてマイルズをさとす。そう言えば、握力測定すると20kg台だったはず、その10分の1だ。

 マッコールのお陰で更生するマイルズ、壁に描いた絵はただならぬ画家としての片鱗を見せる、そう、社会ではなかなかその様な才能の機会を与えられることは少ないのだ。時折、小学校の壁や、小学校近くの道路の壁面などに生徒達が描いた作品を見かけるが、アートを志す若者に公共の場を使って定期的に発表の場を与えることはできないものだろうか?きっとたくさんの才能を発掘できるはずだ。

 マイルズは通学するバスの中でもスケッチ画を描くほど絵に夢中になっている、覗き込む女学生に「それはヒーロー?どんな能力があるの?」と問われ、「隠し部屋のスィッチを持ち、セダンの運転ができる」と応えたら女学生が優しく笑う、新しい恋が芽生えたシーンだ。この隠し部屋にはマッコールの軍服があった、胸にはたくさんの勲章が飾られている、きっと従軍当時も相当な活躍をしていたのだろう。

 マッコールは単なる肉体派ではない、スーザンの携帯情報を分析したり、スーザンの宿泊していたホテルにハッキングして記録映像を確認するなど、犯罪に巻き込まれるに至った経緯を探っていく、恐らくCIA在籍当時に叩き込まれたであろうハッカーとしての能力も兼ね備えているのだ。この点はアローやバットマンの様に大掛かりではなく、ノートPC(VAIO)一冊で犯行に至った経緯を割り出して行くのはシンプルで凄い。

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 戦闘することを決めた時、冷静な目が周囲の敵の武器や戦闘に使えそうな身の回りのものを一瞬で見定め(イコライザービジョン)、腕時計のストップウォッチを押す。この特徴ある大きな丸い腕時計はそうSUUNTだ。近年、特にアウトドアを楽しむ方は腕時計を選ぶ際に選択肢に入る腕時計ではないだろうか?

 読むべき100冊の本、亡くなった妻が好きだった読書、マッコールも妻を追い求める様にして読破を目指している。前作では「老人と海」、今作では「世界と僕の間に」「シッダールター」「アメリカの息子」。そして100冊目の「失われた時を求めて」を読み始める時に今回の事件は起こった。

 デア・デビル、スパイダーマンバットマンは頼りになる市井の正義の味方だが、とてもなれそうにない。しかし、このマッコールなら、もしかしたら近くにいるかもしれない正義の味方、この作品も立派なヒーロー映画の一つなのだ。

www.equalizer2.jp